西城町の伊藤愛美(いとう まなみ)さんは西城小学校の4年生。オーディションに見事合格し、小学5年生、彩花のクラスメイト役として出演しました。ご家族みんなでインタビューに答えてくださいました。
 まず、愛美さんにお話しを伺いました。授業シーンや大トチの木に絵を描きに行くシーンなどがあり、教室では、先生を「はぶててる〜」とからかうセリフもありました(はぶてる=広島弁で「すねる」、「膨れっ面をする」という意味です)。「たくさんの俳優さん、女優さんに会ってお話しができてとってもうれしかった」と話してくれました。
 伊藤さんはご家族でたくさん出演されたそう。お父さんの一志さんは、30年前、子どものイッちゃんたちが山で行方不明になった時、役場前に連れて帰るシーンで警察官の役で出演しました。ウイルホールでの町長討論会ではヤジを飛ばす町民の役もされたそう。「子どもも私たちも普段できないことを経験できて、とても楽しい夏だった」と振り返ります。「短いシーンでも何度もテストを重ね、角度を変えて時間をかけて撮影されるのを見て、すごいと感じました。どういう映画に仕上がったのか早く見たいです」ととても楽しみにされています。
 一志さんは、「西城で撮影されるということで、せっかくなのでオーディションを受けるだけ受けさせてみようと。最初、本人は乗り気ではなかったのですが、合格してとてもうれしく思いました」と感慨深い様子。愛美さんも「すごく緊張して合格するとは思わなかった」と言います。合格発表で「1番・伊藤さん」と呼ばれたときは信じられなくて思わず「もう一度言ってください!」と聞き返してしまったそうです。
 この夏を振り返って、「8月は西城町のどこかで撮影していたのですごく活気があった。皆さんが帰られて静かな西城町に戻りましたが、何だか少し寂しい気がしますね」(一志さん)。「西城で初めての映画に出演できてとってもうれしい。緊張したけど、いい思い出ができました」(姉の香織さん)。
 愛美さんのがんばりを見て、「人見知りをせず、積極的に話しをするところは感心します」と話す一志さん。愛美さんは、スタッフに「伊藤ちゃん」と呼ばれて可愛がられたそう。キャストの方だけでなく監督をはじめスタッフ全員に寄せ書きのメッセージをもらって、「一生の宝物です」と話します。アルバムには、個性あふれるスタッフの皆さんと撮った写真もたくさん収められていました。
 夏休みの宿題は、撮影が始まる前に全部終わらせていたという愛美さん。「将来は女優になりたい。たぶんなれると思う」と目を輝かせて話してくれました。
信子の妹役の居升悠さんと愛美さん
伊藤さんご一家 前列左が愛美さん、右が姉の香織さん
 地元での上映、そして広島上映を終え、ついに東京での公開を迎えてからお母さんの恵美子さんは、「いろんな方たちにお世話になりながら、映画『ヒナゴン』は日本中を歩んでいるんですね。なんだか、娘を嫁にやったような心境です」と感想をお寄せくださいました。
久々に西城町で渡邊監督と再会(2005年2月)